うれしい出産
電車を乗り継いで汐留まで向かった。都営大江戸線の改札を出て右手にある商業施設に入る。有名なミュージカルシアターがある大きな入口ではなく、ファストフード店が近くにある簡素な入口だ。
ここまで来ればもう彼らも追ってくることはないだろう。ミサキは一息ついてから、自らの腹に手を当て我が子の胎動を感じた。一定のリズムで腹を蹴っている。ミサキは機械的なそれを少し不気味に思った。
ぎぎぎ
音が鳴ってから酷い鈍痛に襲われ、その後破水した。
ぎぎぎ
それは明確な意志を持っているような(しかし機械的な)動きをしていた。
0
閲覧数: 36
文字数: 788
カテゴリー: SF
投稿日時: 2022/8/27 16:52
最終編集日時: 2022/8/28 4:37
渡利