島の海と蜜柑
ある日、島の横を、一隻の船が通りすぎて行った。
スクリューはかたかた廻り、波を押し分け進んで行く。
海は、スクリューにかき混ぜられたせいで、
青い海面に白い泡粒をぷかぷか漂わせている。
その泡粒は船の尾から、足跡のように伸びていた。
時折吹く風が島の林を揺らすだけで、
そこでは船と波以外、動くものはなかった。
島の崖のふちには蜜柑の木がひとつだけ生えている。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/6/18 4:24
後川
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