新鮮屋

新鮮屋
 ※此の作品は私が初めて書いた小説を再度書き直したものであり、青豹に登場する動物達と関係はありません。当時の題名は【天中新鮮街新鮮屋】というもので悩んで訪れた客を逆に悩ませるという恐ろしいものです。舞台は死後の世界で、天国に不法滞在している地獄の住民達が天国では考えられないような極悪な行為をするという喜劇小説。その要素は【そのストレス、晴らします】という何でも屋に引き継がれており、今の小説を形作る基礎となり背骨でもあります。それを踏まえた上でどうぞ。  夕立の後頃、青林檎が机の上で扁平足な丸足を投げ出し欠伸をしていた。窓の向こうではアスファルトから白い蒸気が上がって、びしょ濡れの傘を片手に紳士達が道路を横断している。彼は「もう止んだのか」と思った。見れば、時計の針は十八時を指している。もう夕飯の時間だ。今日もどうせ、同居人が飯を作ってくれるのだろう。青林檎はそう思って、また寝転がった。そして尻を掻く。なんだか虫に喰われているような気がして痒い。僕の実がそんなに美味いのだろうか。いや、僕という尊い存在なのだから、美味なことは世界的に当たり前である。なら虫ケラたちが集っても仕方なかろう。そういえば最近、キャバクラとパチンコで金を溶かし過ぎて借金してたんだった。それを忘れる為に買った覚醒剤でさらに借金を繰り返す。まあ、同居人がどうせ返済するし良いか。と、このように青林檎は一日怠惰な生活を繰り返しながらも性欲に支配された生活を送っている。燻んだ黄緑に葉のついた風貌をした青林檎は、一頭身短足扁平足という非モテ要素を兼ね備えた世の中の『ゴミ』だ。そんな生ゴミと同居する気狂《キチガイ》は複数人いる。一人目は麻薬密売者で色男のグル・グリン。洋紅の鱗に紫の巻角を生やした竜で、外套を着ている。そして二人目は借金取りのクルル・クルル。蹄のように二又の鉤爪で鼻と額に一角を持つ黄色い怪獣である。そんな異形二匹がゴミを飼い慣らしているわけは密売する為である。彼らの住むこの建物は天中新鮮街という新たに出来た中華街で、夜には海を天鳥船や宝船で渡った東洋の神々が御馳走を食べにやって来る。そんな新鮮街で新鮮屋という「新鮮な食料」を提供する仕事をしているのだ。そこで喋って動く青林檎は高額で売れるに違いない、そうクルルは考えたのである。だからこそ、このような生ゴミに馳走を用意して鱈腹食べさせる。そして明日には出荷というわけだ。 「青林檎、今日は麻辣担と回鍋肉ですよ。召し上がれ」  クルルがエプロンを脱ぎつつ、丁寧にお辞儀した。青林檎は机から飛び降りると、床に着地して皿の元にトテトテ立ち向かう。 「ワーイ、流石クルル! やっぱり女は台所で料理しなきゃ!」 「何を戯けたことを! 俺は男ですよ。金玉なら『しっかりと』ここにぶら下がっています」股間を指差す。途端に、ソファで寝転んでいたグルが腹を抱えて大笑いした。脱皮不全を放置し続けた尻尾が響尾蛇のように震えて固有の音を奏でる。 「ははは! 一つは野良猫に食いちぎられて無いだろ。実質、女じゃないか。"ガバガバ"だし」 「きっとグルさんは覚醒剤の打ちすぎで勃起不全《ED》になってるでしょ。アンタの方が女だと思うけどなあ……昨日の夜だって、あんなに啼いてたじゃないですか」
愛染明王
愛染明王
དབྱར་རྩྭ་དགུན་འབུが好きっす