ディサローノ・アマレット

カクテルは風味豊かで、それでいて明確に表情がある。スクリュードライバー、ファジーネーブル、レゲエパンチ…。作る側にとっても飲む側にとっても、それはまさしく沼である。先人たちが名前をつけたくなってしまうのも納得だ。 カクテルの構成要素はお酒とソフトドリンクが基本だ。でもお酒同士だって構わない。ソフトドリンクにシロップを混ぜたノンアルコール・カクテルだってある。時には生クリームや氷、卵白だって使う。無限の選択肢があるからこそ奥が深く、多くの人々を狂わせてきた罪深き趣味である。 僕はその中でもディサローノ・アマレットという杏仁のリキュールを無糖のアイスティーで割って飲むのが好きだ。スッキリとした口当たりと上等な杏仁豆腐のような甘美で豊かな風味がたまらない。バーに入ればあの独特な蓋を探している自分がいる。 推しが引き合わせてくれた「その子」は元気、という言葉が人一倍似合う女性だった。精神的にはかなり大人びているが、よく笑い、よく飲み、よく食べる、そんな気持ちのいい女性であった。 「お店初めてですか?」 「いえ、何回か来てます。」
リョウ
リョウ
文才なんてものはありません。でも書きたいんです