星の名前

星の名前
「なあ、ヨウ。人は死んだら星になるそうだ。君はどう思う?私もいつかあの星々のうちのひとつになると思うか」 夜空を眺めながらハルノは言った。五つ歳上の彼女はよく哲学めいたことを言い出すが、中学生だった僕には理解できないことが大概だった。 「…分からないよ。でも」 「なんだ?」 「ハルが星になったら、僕が必ず見つけるよ。将来は天文学者になるから」 「ははっ…そうか。嬉しいね。じゃあ見つけたら、私の名前をつけてくれよ」 ハルノはひどく愉快そうに笑った。その笑顔が、ずっと僕の目に焼き付いている。 「ヨウ先生!起きてください!観測始めますよ!」 「…ああ、悪い。今行くよ」
白本竜也
白本竜也
短編を書いてます。 Twitterでは140字小説を主に色々と。 よろしくお願いいたします。 Twitter: @shiramoto_140