麗しの蝶の君
ーねえ知ってる?あそこにいる女の子。
確かに向こう側の校舎に、いた。スラリとした立ち姿に長い黒髪を伸ばして、目を伏せている。逆光も相まってとても儚く見える。顔を上げて彼女は再び歩き出した。驚くほど端正で麗しいという形容詞が似合う顔だった。すうーと滑るように優雅に歩いて校舎の影に消えてしまった。
ーあの子ね、蝶々なんだよ。
そう言われても驚きはなかった。ぼんやりとそうだろうなぁ、そうに違いないと納得させる節があった。
「は?どうゆう事?」
しかしそう思ったのは数ナノ秒程度のことで直ぐ問い返した。
「あの子は蝶なんだよって話。」
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文字数: 2066
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/2/8 22:08
最終編集日時: 2023/2/8 22:08
倚吏
倚吏(より)です よろしくお願いします
受験期を無事終えてゆっくり執筆を再開中。