火竜
窓を滴る雨を見て、テレビ中継で見た何かを思い出した。大勢の人が、こぞって拝んでいる。一つの方角なんかに。
「吸わせてよ」
差し出された煙草を手に、どうしたものかと私は悩んだ。
「吸わせてくれるんだ」
「他人の健康なんて、知ったこっちゃないし」彼は笑った。
熱気の籠った布団を抜け出し、悠々と立ち上がる。背を伸ばして眠気を打ち払い、キッチンへと向かう。一つ一つの動作の中に、夢魔はまだ居座っている。だから、蛇口に口をつけて水を飲んだ。誰だって気にしない。私も彼も、品位なんて目に見えない価値は大抵気にしないし、気にするような奴らは皆死んだ。
よく分からない実態を持つモンスター。いわゆるそんな存在が現れたとしても、人は呑気に日々を過ごしている。
二月二十二日、午後二時二十二分二十二秒。そして、世界が変わってから二回目の第二月曜日。こうやって、世界が重なっていくのを観測するのは楽しい。
「今日は月曜」
しかし、どれだけ時が進もうと、月曜日が持つ陰鬱さは変わらない。なんやかんや秩序を保っていた過去も、それからこうも変わってしまった現在も、耐え難い力を持っている。憎たらしさを通り越して、愛着すらも感じさせるのだった。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/11/24 16:44
ot
フォロバしますが、投稿しなくなったら外します。
11.4 ~