悪意

Nさんは、中学生時代に興味本位から出会い系サイトをはじめた。 元々、内気で地味な彼女は同級生の男子から「暗い」と卑下されることはあれど、自分を「可愛い」や「優しい」と評してもらえるのが素直に嬉しく、表面的には地味な優等生で通していた。そんな彼女に転機が訪れたのは14歳の秋口だった。三ヶ月以上、メッセージのやり取りを続けている男性Aから「会わないか?」と持ちかけられた。Nさんは、Aとは20以上も離れていることから、最初は躊躇ったものの紳士的な彼の文面から「優しい人」と決めつけてしまい、彼と会う事を承諾した。 当日、想像とは少し違ったAを目にした。待ち合わせ場所は彼女の地元から離れた駅で、Aは車で彼女を迎えに来ていた。細身の長身を想像していたがAはどちらかと言えば太った童顔の男だったそうだ。そのまま二人はドライブに至り、Nさんは人生初のデートに心を躍らせていた。そして、自然の流れで彼女はAと肉体関係を結んだ。その後、二人は半年以上に渡って関係を続けたという。 15歳のときNさんが孕っていることが分かった。慌てたNさんは、急いでAさんに連絡を取った。両親や学校、同級生に知られたくなかった彼女は焦ったがAさんには一向に連絡がつかなくなってしまったという。お腹は少しずつ大きくなり始め、とうとう両親から問いただされてしまった。 Nさんは全てを両親に告白した。出会い系アプリにハマったこと、Aという父親よりも少し歳上の男に処女を捧げた事、性知識に疎く何度も胎内に射精されていたこと。母親は泣き崩れていたが、父親はなぜか愕然とした顔でNさんを見て言った。 「本当に...Aと名乗ったのかい...?」 なぜだか父親の顔は、信じられないという感じの顔つきをしている。Nさんは涙を拭って父親にどうしたのかと訪ねた。すると父親は信じられない事を口走った。
狼ヶ森 爽籟
狼ヶ森 爽籟
狼ヶ森 爽籟(おいがもり そうらい)という名前で活動しています。 個人的趣味で怪談や奇妙な出来事、ときどき特撮のことなどを書いています。文章下手で、まだまだですが頑張っていきますのでよろしくお願いします!