電車にて

電車にて
日は西の地平に傾き、宵闇がすぐそこに迫りつつあった。 電車に揺られながらゆっくりと思考を巡らせる。 今日も一日疲れたな。帰ったら風呂に入ってゆっくりしたい。 私は揺れの音とリズムの中で静かに目を閉じようとして、ある異変に気が付いた。 乗客の中に、ひときわ目つきをギラギラさせた中年の男がいた。 髪はジェルでベトベトで、ブランド物のセカンドバッグを手にしている。 顳顬(こめかみ)のあたりに神経質ないらだちをみせて、人を殴りたくて仕方がないという目である。 足を組んで座るものだから隣に座っていたおばちゃんも迷惑そうな表情をしていた。 エー次は、深名町駅、深名町駅に停まりマァス。 間もなくして、電車はブレーキの余韻を残して停車し、大きなため息をついたかと思うと扉を開いた。
ハム太郎
小生、向日葵の種が好きである。 自分がおいしいとおもって食べているものを、皆にも食べさせたい、それが人情というもの。