夕暮れと飲み物と推しと私 その3 「恋文の技術」

『恋文の技術/森見登美彦』  手紙を書いたことは、ほとんどない。あってもせいぜい子供の頃に、何かの行事で両親や近隣住民の方々に描いたくらいだろう。  あと手紙と言えば、年賀状だろうか。子供の頃、友達が少ないながらも年賀状は書いていた。  小学校の頃には、友人と一緒にスタンプを年賀はがきに押して、オリジナルの年賀状を作っていた。中学校に入ってからは、CD-ROMが入っている年賀状印刷用の本を両親が買っていたので、それを活用してパソコンで作っていた。今では、スマホで済ませるようになってしまったが、1人だけ年賀状のやり取りをしている。その年賀状もパソコンで作っている。  年賀状は、大抵の場合、パソコンでのテンプレート文の他に何かしらメッセージを手書きしている。  何を書いていたかは、すっかりと忘れてしまったが、そこには相手を思いやる何かを書いていたように記憶している。もちろん、子供の頃の話なので、ふざけたことも書いていただろう。  手紙は、メールなどでは伝わらない何かがある気がする。特に気持ちがこもるように思えて、だからこそ手紙という文化が残っている、と勝手に思っている。 『恋文の技術』は、京都から能登半島の研究所へ飛ばされた大学院生が、文通修行として親しい人と手紙のやり取りをしていく書簡風小説だ。彼らの文通はおもしろおかしく、思わず「何してるん?」とツッコミを入れたくなるが、読んでいて愛おしい。最後に書かれている恋文のコツは、なかなかに的を得ている。恋文を書く予定はないが、このコツは全ての手紙に当てはまるような気がする。  皆さんもホッとする飲み物を用意して、のんびりと彼らとの文通の世界へ飛び込んでみて欲しい。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。