バスばば2

バスばば2
しばしば天気は比喩に用いられる。 晴れ渡った気分とか嵐のように激しくとか心が曇るとか。 私の心もどこまでも曇っている、その曇は厚く、晴れていたことがあることを忘れてしまったかのように、たまに少し日が差すと人々は歓喜する、本当の快晴はその先にあるというのに。 私はバスに乗ると心が少し晴れる、きっと今日も一本乗り遅らせたからだろう。 私はいつもバスを1つ乗り遅れる、それは間に合わないと言うよりも自分の生き方として乗り遅れるのだ。 1つ後のバスから見える景色はいつも現実を客観視しているように自分とは距離を置いて見える、誰かの不幸な出来事もバスの中から見るとテレビを見ているようになんとも思わないでいられる。きっと大量の札束がバス停に舞っていたとしても私はバスから降りることはせずいつものように眺めているだろう、それこそが私の喜びなのだ。 そんなことを考えているとちょうど窓の外にバスと並走している自転車に目がいく、かわいそうにそんな汗だくになってと私は思う。
ガナリ
ガナリ