朝靄

朝靄
季節は夏のど真ん中。小学校は夏休みに入り、井上春は怠惰な日常を歩んでいた。 毎朝六時になると、近所の公園で、ラジオ体操をやらないといけない。近所に住む友達や、上級生達が集まる。 たまに大人や、中学生も来る。高校生は来ない。 今日、僕は珍しく五時に目が覚めた。目覚まし時計よりも早くだ。いつも最後に公園に入る僕は、今日こそ一番乗りをしてやろうと、支度を急いだ。歯磨きをして、パジャマを脱ぎ捨てた。寝癖は残したまま。サンダルに足を突っ込んで、玄関の鍵を開ける。 「春、今日は早いんだねぇ。」 いつも早起きの婆ちゃんが、居間から声を掛けてきた。声と足音と、木の軋む音が、徐々に近付いてくる。 「うん、今日は早く目が覚めたから。一番乗りしてやるんだ。」 婆ちゃんは、細い目を少し見開いて笑った。 「それは行ってからのお楽しみだよ。」 腰を手で押えて、婆ちゃんは居間に戻って行った。
まる
まる
学生です。 思いついたのを文章化しているので、内容は浅いです。 マイペースに投稿するつもりなので、よろしくお願いします!