罪を背負う

罪を背負う
 天真爛漫で、繊細で、心優しい――そんな貴女が人を殺められるとは思いもしなかった。震える文字で書かれた手紙が届いたのは昨日の出来事だった。 『私は大変な事をしてしまいました。貴方と敵対するあの人を……ごめんなさい、もう貴方には会えません。どうか、お元気で』  俺が彼女の邸宅を訪れた時には手遅れだった。もう少し早く手紙の存在に気付いていれば――後悔してもしきれない。  敵対している奴は病床に居る。毒を浴びたものの、死は免れたらしい。何処までも運の良い奴だ。  その思いを俺が引き継いでみせる。ナイフを片手に、たった一人眠る奴の住まいへと足を向けた。床が軋む音に心臓が跳ね上がりそうになる。気付かれてはならない。あともう少しで奴の元へと辿り着く。  蝶番の擦れる音を最小限に抑え、ゆっくりと忍び込む。  奴は思った通り、ベッドで眠っていた。あとは刃を突き立てるだけで良い。  俺ならやれる。彼女を救える。
ナナミヤ
ナナミヤ
ファンタジー、時々現代なSSと、恋愛ファンタジーな連載小説を載せています。 SS、連載小説ともに気まぐれ更新しています。 フォロー、♡、感想頂けると凄く嬉しいです♩ 他サイトでは小説家になろう、NOVEL DAYSで投稿しています。 必ずフォロバする訳ではありませんので、ご了承下さい*ᵕᵕ お題配布につきましては、連載している『お題配布』の頁をご確認下さい。 著作権は放棄しておりません。二次創作は歓迎ですが、掲載前に一言でも良いのでコメント下さい。 2025.1.23 start Xなどはこちらから↓ https://lit.link/nanamiyanohako お題でショートストーリーを競い合う『NSSコンテスト』次回2025.9.1.開催予定です。 第1回優勝者  ot 様