香り、香る
あ、サイダーの香り。ある女の子が横をすり抜けてった。転校初日で廊下を彷徨ってた時だった。弾けるような感覚とほのかな甘さ。喉を通る時炭酸が少し苦しいような。あの子とまた会いたいな。
これ、恋かな。サイダーかな。青く透き通るラムネかな。
◇
あ。やっちゃったー…。友達と馬鹿騒ぎしてたら手に持ってたサイダーを服にこぼしちゃった。しかも結構な量。ハンカチでとりあえず拭いてみる。
「わ、やべ。ごめん!ぶっかけるつもりは無かったんだけどさ」
急いで薫は自分の上着を私にかけた。ほわっといい匂いが包み込む。お花の香りかな。そういうの女子力無いからわかんないや。でもなんだろ。優しくて暖かくて…安心する。
「シャツ透ける…から早くなんか着替えてこいよ!」
「もう、言わなくてもそうするよ!」
廊下を走って保健室に行く。心臓のドキドキが私の足を速く回転させる。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/4/8 23:37
最終編集日時: 2023/4/10 6:15
倚吏
倚吏(より)です よろしくお願いします
受験期を無事終えてゆっくり執筆を再開中。