後に文豪という渾名になった

 何も書ける気がしない。 真っ白の紙を前にして私は飾り立ての鉛筆を立てながら何を書けばいいのか分からずに絶望した。  文字を書く事は得意だ。 昔から………そう小学校の頃からずっと物語を書いてきたから想像したものを文章にする作業は得意だった。  しかし、文章以外の方法………それも絵でもって表現をする事は私は大の苦手である。 「………あなたまだ何も書けてないの?提出期限は明後日ですよ?」 先生が呆れた様にそう言ってくるのを右から左に受け流しながら「えぇ、すみません」と心にない謝罪を口にする。 先生には申し訳ないが私は絵を描く事………風景画や模写ならまだ何とかなるが、人物画は大の苦手なのだ。  写真を撮ってその写真通りに模写をすれば何とかなるかもしれないが、それでも書き上げたものはどこか歪になる。 何故私が人物画を描く事が苦手なのかと言えば、小学校一年生の女の子に私の絵を描いてとおねだりされて、仕方なく………本当に仕方なく絵を描いてあげた事があった。
ナナシ
今日も静かに生きてます。 prologue様にも出没し、極々たまに小説を投稿してます。