12 かちむご 〜なんかカチ割れてて酷い奴〜
「え、なにこれ。」
街に帰ってきた三人は、そのまま素材を買い取ってもらうべくギルドを目指していた。その道中にある教会の前を通ると、前までの神聖さはどこえやら。なぜか、酷くズタズタなのだ。美しく輝いていた壁にはヒビが入り、差し込む光がカラフルになる神秘的なステンドガラスは、すべて割れて飛び散っている。また、扉は片方がもう外れてしまいそうなグラグラぶりである。参拝者の安全の為にも、なるべく早めに撤去してほしいものだ。お化けを寄せ付けないはずの教会が、今はお化け屋敷のようである。そして、教会の周りには沢山の人々。しかしただの人ではない。事件などの調査に赴く仕事柄のお偉いさんと、あとは街の警戒にあたる近衛兵の方々だ。彼らがお偉いさんと教会を護衛しているように見える。また、お偉いさんと、近衛兵のリーダー格の方が肩を並べて、興味深そうに中をじっくり観察している様子が見られた。自分たちがゴブリン相手に手こずっている間に、一体全体何が起きていたのやら。しかし事に気づいたからと言って、自分達に出来ることは殆どない。暫く現場を見つめて、さっと立ち去ったのであった。
さっきのはなんだったのか。そんなことを考えながら、ギルドの門を潜る。そこにはいつも通りの活気溢れる酒場と、いつも以上に胃が痛そうな受付嬢、なにやらソワソワしているギルマスという異様な光景が広がっていた。そんな様子に困惑しつつも、三人はカウンターへと向かった。
「ただいま戻りました。これ、依頼のゴブリンの耳です。」プシュケはそう言うと、大容量の四次元バック、その名もマジックバックから重量感たっぷりの麻袋を取り出し、豪快にカウンターに乗っけた。
「こ、こんなに!もしかして、群れがあったんですか?」
「ええ。大体二十匹ちょっとですかね。」
「やっぱり。依頼は十匹程度ですもんね。本当に十匹程度なら、こんなに多い筈ありませんし。群れがあるなんて知っていたら、もう何ランクか依頼レベルが上がっていた筈なんですけど。」そもそも、冒険者にとって依頼レベルとは、受注者の生死に関わる大変重要なもので、自分のランクで受けられる依頼と、そうでない依頼があるのも、彼らの命を無駄に散らさないため。それ故に、「実は死ぬかも知れない依頼を受けていました」というのは、非常に心臓に悪く、プシュケが固まるのも無理はないのであるが、そこを気にしないのがネネルマインドである。実は格上でした発言が投下され、呆気に取られたプシュケを置き去りに、ネネルは興奮した様子で尋ねた。
「えっ!もしかして、僕ら凄いことしちゃってたり?これって、昇格チャンス?昇格しちゃうの⁉︎」
「ええ、まあ。あり得ないことは無いですが。」
「やったー!」
0
閲覧数: 30
文字数: 3019
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/8/2 14:08
あいびぃ
初めまして、あいびぃです!
見つけてくれてありがとう♪
私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。
詳しいことは「自己紹介」にて!
まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします!
※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非!
私の事が嫌いな方はオススメしません。