老梅の咲く頃に

老梅の咲く頃に
序章 時を遡ること江戸時代ー 鷹取という名家におさとと言う使用人がいた。彼女はとても器量が良く仕事もできた為、主人家族からも使用人仲間からも愛され可愛がられた。そんなおさとを妬んだ使用人のおまさが、おさとが家の主人や家人と関係を持ち、家財を恣にしているという嘘の噂を広めた。噂は瞬く間に広がり、おさとは謂れのない罰をうけた。物置に閉じ込められ、食事もろくに与えられず、家人から酷い暴行を受けた。殺されるまではなかったものの、ぼろぼろの姿で町に放り出された。おさとの噂は町にも広まっており、罵詈雑言を吐かれ暴力を受け、町から逃げるように消えた。その後、町の恵比寿川の橋の袂で身体を売る夜鷹として客を取る姿を目撃された。おさとはボロボロに痩せ細っていたが、人間としての凛とした美しさはのこっており、それに目をつけた男どもに執拗な暴行を受け、身銭を奪われ、川に投げ捨てられ死んでいる姿で発見された。それからだ。夜半に恵比寿川を通ると美しくも妖しい夜鷹に出会い、取り憑かれて川に引き摺り込まれるのだというー 2章.鷹取家 わたしは鷹取椿。とある旧家の長女で高校2年生だ。鷹取家には代々江戸時代の使用人おさとの呪いが伝わっている。わたしには兄がいる。いや、正確には、いた。今日は兄の檜の葬儀が営まれている。母は泣き崩れ、父は歯を食いしばって耐えている。鷹取家には江戸時代からの謂れがある。代々長男が20歳の誕生日に死ぬ、というものだ。我が鷹取兄弟は長男・檜(20)、長女・椿(17)、次男・楓(15)の3人兄妹、だった。生前の兄は快活で友人も多く、勉強も出来るかなりハイスペックな兄だった。兄は名家の出身で顔も整っており、名門大学に通っているとあって、私の友人達にも人気が高く、大学でもそれはもうモテていたらしい。兄はそれに胡座をかかず、日々の努力を欠かなかった。そんな兄を自慢に思う反面、どうせ死ぬのに何をそんなにがんばるのか、と不憫に思うこともあった。兄は自分の人生を諦めていなかったのだろう。ウチは代々そうだ。皆が長男の運命を知っているので悲しみもさほど深くない。だが腹を痛めて産んだ母や、兄を誇りに思っていた父には受け入れがたい運命だったのだろう。これでわたしがこの家の長子となるが、女であり家への反発からろくに勉強もしていない出来の悪い子である為、鷹取家の命運は次男の楓に委ねられた。長男のいない名家の次男とあっては、かなりのプレッシャーを感じているに違いない。わたしは人ごとのようにみているだけだった。聞くに、歴々の兄弟構成は長男・長女・次男で、やはり父も長兄に先立たれた次男だったらしい。楓は兄を慕っていた。わかっていたこととはいえ、兄の死に打ちひしがれ、これからのことへのプレッシャーも相まって大いに荒れた。楓は兄と違い、おとなしくて友人も少ない、勉強も中の上、お世辞にもイケメンとは言えなかった。ハイスペックDNAを兄に全て持っていかれたかのようだった。 わたしはそんなことをボーっと考えながら、葬儀の席に参列していた。しかし、長兄が必ず死ぬって、祟りがどうのって言ってたけど、一体どんな力が働いているのか… 3章.長兄 俺は鷹取檜。旧家の長男だ。鷹取家には負の歴史があり、その代償として代々長男が20歳になると死ぬという。にわかには信じがたいが、実際に歴々の長男は型にもれず死亡している。年齢が近づくにつれ、恐怖心は少なからず育って行った。俺の死後、両親はどうなるのか。妹たちに家のことを任せるのも心配だ。家族と紡いだ僅か20年の思い出が俺を苦しめる。迷信に違いない。きっと俺は大丈夫だ。
こめこ🌾
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