私の方が

私の方が
私(菜奈)には小学1年生の時から好きだった子がいる。優太という、優しく面白い男子。そんな優太がずっと大好きだった。 私は優太が大好きなまま中学に上がった。中学には当たり前に初対面の人ばかりだ。まずは第一印象を良くするため、優しく振舞った。自然に素の自分に戻していけば問題ないだろう。そう思いながら。部活だって順調だった。仲のいい友達ができた。華那という優しく、気配りができる子だ。そんな華那といるのがとっても楽しかった。もちろん恋愛の話だってした。そんな華那といつも通り学校を出て話しているときだった。 「私さ、菜奈には申し訳ないけど優太のこと好きになっちゃったかもしれない。」 と、華那はニコニコしながら話すのだった。このままだと取られてしまう。そういった不安、または怒りにも近いと言えるだろうか…が私を追い詰めた。 それから数日がたったある日。席替えがあったのだ。決め方は、それぞれの班の班長がバランスを見ながら席を決めるのだった。このクラスで最後の席替えだった。幸い、華那と同じ班だったのだ。私は1番後ろの列の席、私の前に華那という並びだった。喜んだのもつかの間、華那が班長だということを知った。嫌な予感がした。どうにかこの予感だけは当たらないように願った。次の瞬間。 (的中してしまった…) そう。華那の前に優太がいたのだ。あとから華那に聞いたら、「班長の特権」だと言う。 (華那、私が優太のこと好きだっていうの忘れてない…?) でも私はそんな考えすぐに消した。優太は私のものじゃない。告白すらしていないんだから。そんな慌てた自分を宥める自分の考え方を、我ながら最低だと思う。「私の方が優太のことを知っている。」こんな言葉で何が変わるのか疑問を持つほど自分でも分からなかった。ただ、とっさに思い浮かんだ言葉だった。 席替えをして何日かたった頃。私と華那は教室に行くため、階段を登っていた。その日は朝からテンションが下がった。
るんみゃ
るんみゃ