秋栞
トッ。カタッ。スー。
飾り気のない、白色の本棚。その一角に、ぽつりと隙間が出来上がる。
随分久しぶりに顔を出したそれは、少々埃っぽく、軽く払えば、小窓の差し日の中を舞う、いくばくかの妖精が現れた。
パラパラと紙を捲り、目先を走らせる度に過去の記憶が思い出され、その懐かしさに胸が暖まる。
そんな折、一枚の枯葉が、はらはらと本の隙間から舞い落ちた。
拾い上げてみれば、それはカエデの葉であった。
そのことに気が付くと共に、あの頃の風景が鮮明に映し出される。
それは、何気ない秋の一日だった。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/10/13 13:26
最終編集日時: 2025/11/12 10:21
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。