秋栞

トッ。カタッ。スー。 飾り気のない、白色の本棚。その一角に、ぽつりと隙間が出来上がる。 随分久しぶりに顔を出したそれは、少々埃っぽく、軽く払えば、小窓の差し日の中を舞う、いくばくかの妖精が現れた。 パラパラと紙を捲り、目先を走らせる度に過去の記憶が思い出され、その懐かしさに胸が暖まる。 そんな折、一枚の枯葉が、はらはらと本の隙間から舞い落ちた。 拾い上げてみれば、それはカエデの葉であった。 そのことに気が付くと共に、あの頃の風景が鮮明に映し出される。 それは、何気ない秋の一日だった。
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。