のろのろと
昨日観ていた夢を追いかけて、昨日に日を戻して今日を生きている。その夢は確かに、僕の求めていた未来への指標となるかの様に…。
こんなにも、夢の内容をハッキリクッキリと憶えている事自体が、余計に僕のこれからに妙なるチカラをくれると信じたからだった。
「よ、よぉーし」
夢の中では、いつもの弱音ばかりを考える僕では無くて、大豪邸に住んで、たくさんの社員が楽しく、笑顔に暇の無い明るい会社の社長を僕はしていた。運転手付きの大きな車で、家を出る時はそれは綺麗な奥さんに笑顔で毎日、毎日と幸せな《いってらっしゃい》をされている。子供も笑顔で手を振ってくれている。
まだ、中学生の僕がそれを観て出来ることは、とにかく会社とは?経営とは?幸せな家庭を築くのには何が必要なのか?を考え出すのがスタートと思った。いつもは朝から憂鬱な気分で始まるけど、今日は違う。思いっきり歯を磨いて、メンソール入りの洗顔料で一つ、一つの毛穴を綺麗にしていく。その間に熱めのお湯を湯船に沸かして、キノコご飯のタイマーを入れた後、ヘチマタオルで全身をピカピカに磨き上げていく。足の裏から、指の間も、普段は気にしない自分の大切な全身を綺麗に洗い上げる。これ自体が、その夢を観る前の僕では無かった事だった。
「ありがとうな!僕のカラダ」
入念に入念に、きちんと自分と向き合い見た事の無いホクロを発見したりとする。
鏡では無く、自分の目でしっかりと全身を確認していく。
「脚の筋肉はこれで足りてるのか?」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/5/13 10:00
傾奇者~カズ~