けいたくんと鳥の神様

 夕日が頂上にひっかかっていました。  けいたくんは、小学校の帰りです。家は山の向こうにあります。  いつものように山路を歩いていると、木陰からギャーギャーという声が聞こえました。そうっと枝をかきわけ、のぞいてみます。  ヘビが首を持ち上げて、先が二つに割れている真っ赤な舌をチロチロと出しています。  ヘビの向いている方を見ます。一羽のシジュウカラが、羽根を目一杯に広げています。声は、シジュウカラの鳴き声でした。  後ろに、巣がありました。赤ちゃんが五羽います。寄り添うように、じっと動きません。まるでひとつのかたまりのように見えます。巣が落ちてしまい、ヘビに狙われたのだ、と思いました。  とっさに小枝を拾いました。ヘビに向かっていきます。ヘビはとぐろを巻きながら見ています。けいたくんは「うわっ」と叫びました。驚いてヘビは逃げていきました。 「もう、へいきだよ」  赤ちゃんは震えています。恐かったよね、と言いながら、巣を木の上に乗せました。その場を立ち去ろうとした時、木の上から「ピィピィ」と鳴き声が聞こえました。 「よかった、よかった」
べるきす
文芸短編小説をメインにアップしております。 なにかを感じ取っていただける作品を目指して^_^ もしかしたら対象年齢少し高めで、ライトではないかと思いますが、ご興味をお持ちいただけましたら幸いです☺️ 名刺がわりの作品としては「変愛」を。 もしご興味いただけましたら、少々長いですが「This Land is Your Land」を読んでいただければ幸いです。