けいたくんと鳥の神様
夕日が頂上にひっかかっていました。
けいたくんは、小学校の帰りです。家は山の向こうにあります。
いつものように山路を歩いていると、木陰からギャーギャーという声が聞こえました。そうっと枝をかきわけ、のぞいてみます。
ヘビが首を持ち上げて、先が二つに割れている真っ赤な舌をチロチロと出しています。
ヘビの向いている方を見ます。一羽のシジュウカラが、羽根を目一杯に広げています。声は、シジュウカラの鳴き声でした。
後ろに、巣がありました。赤ちゃんが五羽います。寄り添うように、じっと動きません。まるでひとつのかたまりのように見えます。巣が落ちてしまい、ヘビに狙われたのだ、と思いました。
とっさに小枝を拾いました。ヘビに向かっていきます。ヘビはとぐろを巻きながら見ています。けいたくんは「うわっ」と叫びました。驚いてヘビは逃げていきました。
「もう、へいきだよ」
赤ちゃんは震えています。恐かったよね、と言いながら、巣を木の上に乗せました。その場を立ち去ろうとした時、木の上から「ピィピィ」と鳴き声が聞こえました。
「よかった、よかった」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2021/8/25 15:14
べるきす
文芸短編小説をメインにアップしております。
なにかを感じ取っていただける作品を目指して^_^
もしかしたら対象年齢少し高めで、ライトではないかと思いますが、ご興味をお持ちいただけましたら幸いです☺️
名刺がわりの作品としては「変愛」を。
もしご興味いただけましたら、少々長いですが「This Land is Your Land」を読んでいただければ幸いです。