追憶の名残〜blue side story〜 第9章 連鎖するモノⅠ
結局、きちんと眠れたのかは分からない。夢は見なかった。重たい瞼を開け、時計に目を遣ってみれば時刻は七時過ぎだ。ミユは目覚めただろうか。複雑な心境に、唇を噛み締める。
胸元に手を伸ばし、おもむろに首に掛かるチェーンを取り出した。いつものように、先端ではカノンのリングが揺れている。カーテンの閉め切られた薄暗い部屋でも、僅かな光を反射させて輝いている。
今日こそはミユも俺の事を受け入れてくれるだろうか。きちんと話が出来るだろうか。取り留めの無い思いが次から次へと浮かび上がっては消えていく。
そうしている間に、リングを持ち上げている腕がだるくなってしまった。リングごと腕を胸の上に乗せ、溜め息を吐いた。
今日、機会があればミユにこのリングを渡そう。俺が本当に必要としているのはカノンと歩んだ過去ではなく、ミユと紡いでいく未来なのだから。
なんて格好の良い事を考え付いてみるが、実際、リングを持たせる事でミユを繋ぎ止めておきたいだけなのかもしれない。もう二度と俺の元から離れてしまわないように。失ってしまわないように。
ミユの気持ちを知りもしないのに、自分勝手だな、などと軽く悪態を吐いて嘲てみる。
部屋の中へ光を取り入れるため、朝だと言うのに重たい身体をベッドから引きずり出した。
カーテンを一気に開けて、全身で朝日を浴びる。
窓に映っているのは真っ白で柔らかそうな雲と抜けるような青空、風で波打つ草原だ。こんなにも清々しい景色なのに、何故、俺の心は晴れ晴れとしないのだろう。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/3/31 12:36
最終編集日時: 2025/3/31 12:37
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
ナナミヤ
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