逃避郷

逃避郷
序章 「放浪」 それは未だ、夏の暑さが残るかたわれ時の事である。 浅見 蒼太君は高校生であり、ただ、それ以外のことは何も覚えておらず、自分が何の為にその都に来たのかは分かっていない。そこで、一体どう言った出会いがあるのかも。 彼が放浪し、彷徨い、行き着いたその都の名は“逃避郷”(とうひこう)と言う。欧州で用いられた建築技術で、白い外壁の家々に夕日の沈みかけている海の反射光が橙色に煌々輝く静かな都市である。そこでは、生きるという行為に嫌気がさしたり、理想や目標が見当たらない者達が逃げてもいい場所とされている“無人の都”なのだ。 浅見君はきっと、何かから逃げてきたり、諦めたりしたのでは無い。それだけは直感的に彼も分かっている。だから、この都に行き着いてしまった理由を探すべく、彼は逃避者達に語りかける。 「何故、貴方はこの都へ……?」 一章 「勇気ある豚」
袋田 森双
袋田 森双
自分の為じゃなく人の為に生きるのだよ たいだ もりすごと申します 私のみさくんがお気に召したかね?