関門「スルト壁門」

 世界で二番目に大きい大陸、「シーア大陸」。その東部に位置する島国「カレイア国」から、一年に三度だけ運行する海上列車に乗り、シノは次なる地へ向かっていた。 シーア大陸本土には大国が三つ、小国が五つあり、シノが向かう先はその中でも大陸を象徴するような大国、「フェブリタール」である。  “情熱の国”フェブリタール。国民の七割が竜人(ドレイク)であり、若き国王である「アキ・フェブリート」もまた、ドレイクだ。 国の特徴として、国を円形に囲む巨大な門、「スルト壁門」がある。その昔、大陸に突如襲来した龍の群れから国を守るためにドレイク、ドワーフの2種族が結託し、わずか三日で建てられたという伝説がある壁門であり、世界十二名所のひとつとなっている。  スルト壁門には三つの関門があり、カレイアとフェブリタールを結ぶ海上列車が通る「東門」、フェブリタールと“繁栄の国“シエブリとの連絡経路である「南門」、そして未だ一度も開かれたことの無いと噂される「西門」の東西南に位置される。  約四日かけ、海上列車はシノをフェブリタールへと送り届ける。途中シナテという小国で一日滞在し、ここで一回目の検査が行われる。 ここでの検査は主に持ち物の検査だけとなっておりそれほど厳しくはない。シノは難なく通過し、一日をシナテで過ごした。 翌の正午に列車は出発し、一日程でフェブリタールの関門に着く。シノは緊張することも無く、穏やかに列車旅を過ごしたのであった。  シナテをたった翌朝、遂に列車はスルト壁門に到着した。魔法の勉強をしながら眠ってしまったシノは車掌に優しく起こされ、列車を降りた。 フェブリタールに観光に行く者は少なくない。ここには無いものはないとみなが口を揃えて言うほどであり、世界でも一、二を争う巨大国家なのだ。しかし、シノの一番の目的は観光ではない。忘れ物が無いかを確認し、足早に東門関所に向かった。
灯崎 とあ
灯崎 とあ