ぼくに似たひと

ぼくに似たひと
 僕は地面に横たわり、間もなく訪れる死を待っている。  夜は蒼く、凪いだ海面の様に透き通り、底に沈む月がとても大きく見えた。  眺めていると、僕の上に堕ちてくる様な錯覚を覚える。  きっと、あの光に網膜を焼き尽くされた時、僕と言う存在は、その歩みを止めるのだろう。  すると突然、僕の腹からジッパーを開く音がして、中からもう一人の僕が現れた。  そいつは、地面に横たわる僕を一瞥し、そのまま無言で背中の翼を羽ばたかせる。  ああ、行ってしまう。  僕は慌てて
泥からす
泥からす
短くて、変な小説を書きます。ノンジャンルです。