天国

恋人の手を離してしまった。 彼女は、昨日愛でた花のように 彼女は旅立ってしまった。 ただ彼女に逢いたくて、薬を大量に摂取した。 もうすぐ死期が迫ってくる。身体はもう動こうとしなかった。 薄れゆく意識の中と身体で、それでも脳内は美しい、 塵と化した思い出を描いていた。 花畑や、青空。ただ永遠と広がる山々。 ドス黒い感情の中でも、あの日の花畑の匂いがした。 彼女は大丈夫だろうと信じてしまった、