蝶々

蝶々
ある日を境に、私の周りで蝶が飛ぶようになった。 とても美しい一頭の蝶で、青を基調としたその外見には、品性を感じる光沢がある。一般的な虫に共通するあの薄気味悪さを、そいつには感じなかった。 歩く私の周りをひゅうひゅうと飛ぶ姿には、どこか毅然とした態度さえ感じられる。 だから私は蝶と共に歩いた。丘上の花畑を目指して、痛む足を押さえながら歩を進めた。蝶は私に合わせるように飛んでいる。歩幅を合わせて、まるで赤子を見守るかのようについてくる。何が目的なのか、検討もつかない。 トレーナーがまだ付きまとっているようで、少しだけ気味が悪かった。 私はもう、歩けるのだ。多少の不都合があっても、現在、脚は機能してくれるし、血が滲んでは乾くほどの努力もした。おかげで、他人の支えなしに歩くことができるのだ。 脚を殺してしまったことは、確かに反省している。だけど、どう足掻いたって、それはもう過去の話だ。 歩いていると、じきに様々な色彩が姿を現した。
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