せめて今は友達で

好き、嫌い、好き、嫌い。 私の声と一緒に千切られた花弁が1枚、また1枚と舞う。花弁はゆらりゆらりと落ちていき、軈て風に吹かれて何処かへ旅に出た。 好き、で終わった花占い。私は頬を赤めて俯いた。 知っている、こんなのはただの占いに過ぎない。 花占いみたいに簡単に成立する恋じゃあない。 それでも夢を見たかった、少しでも、あの子を好きでいていいって思いたい。この恋が禁忌じゃないと思わせて欲しかった。 「ねぇねぇ、同じクラスだよね?」 凛とした声。
鏡森 翡翠
別アプリにてミステリ作家として活動していました。ミステリの他、倫理などをテーマに幅広いジャンルを描きます。