記憶の日記

暑っちぃ。 じりじりと照る日に、ミシミシだかミンミンだか鳴き喚く田舎特有の蝉の声。広い道にも関わらず、チリンとわざわざ一鈴鳴らして俺たちの脇を邪魔そうに走っていく一台の自転車。 何時もなら許容できる範囲の全てが、この暑さに限ってはその熱に拍車をかける。 下校途中にコンビニで買った100円にも満たないこのアイスがなければ、俺という一切は形を成せずにもう溶けていただろう。 気温31度。俺は唯一の友と呼べる田崎とアイスを口に運びながら、この猛暑の中で坂道を下っていた。 「……お前さぁ、幸せ?」
夜音。