ゆるゆり

ゆるゆり
修了式の一日が終わった。 冷たい風に頬を乾かされないようマフラーを持ち上げると、後ろから熱の塊が包み込んでくる。笑いながら私の手を握ってくるのは、アキだ。 「ユミの手ってちっちゃくて冷たくて可愛いよね」 「そう?」 そうだよ、と溶けるように笑って頭をのしてくる。 私はわざとらしく白い息を吐いて首に力を込めるが、アキはじゃれるように扱って、決して離れようとはしない。 「んっふふ。」 「んだーもう。この後は。どうするの?」 「そうだねー。ユミん家に泊まる。」 喉に何かつまった。こういうときの咳払いはもはや定番だ。
ぽんとりんご
ぽんとりんご
投稿も内容も不定期です