藍色に揺れる

藍色に揺れる
 梶栗郷駅にはいつもイヤホンをつけた僕と彼女だけ。  お互いに違う曲を聴き、同じ本を読んで帰路に着く。  彼女が違う本を持っていた時は売店でその本を買うこともあった。  しかし翌朝、出抜いてやろうと持っていった新刊が、彼女の手にも収まっている。  今日も、彼女と同じ文字を読む。
久々原仁介
久々原仁介
ただ、僕を見てくれ。 この弱い、僕を