一輪の花を想い出に添えて〜サボテンの花〜〈前編〉(4)

一輪の花を想い出に添えて〜サボテンの花〜〈前編〉(4)
 ————窓から差し込む柔らかな陽射しが私の瞼をそっと撫でる。外から届けられた鳥達の囀りが優しく鼓膜を揺らし、それらが暗い暗い水底から私の意識をゆっくりと光が差す水面へ引き上げていく。  うっすらと瞼を開ける。視線の先には暖かみのある白木の天井が、そして吊り下げられた和風のペンダントライトがぼんやりと映った。  まだ何処か意識は微睡んでいて、頭の中は半分夢心地のまま。 「・・・んっ、あ・・・さ?」  朝の空気はやっぱり少し肌寒い。私は思わずブルッと身体を震わすと、いつの間にか下がっていた羽毛布団をたくし上げ、首元まですっぽり包まった。  ああ、布団の中は暖かくて、何て幸せな気分なんだろうか・・・・・・って、あれ? 変な違和感がある。何故だか身体が重い気が———何とは無しに動かした手に温かい何かが触れる。 「———————っ⁉︎」
華月雪兎-Yuto Hanatsuki-
華月雪兎-Yuto Hanatsuki-
皆様初めまして。華月雪兎です🐇 「雪」に「兎」と書いて「ゆと」と申します💡 現在は掌編、SS、短編から中編サイズの小説を書かせて頂いております。 恋愛系短編集 『恋愛模様』 ミステリ/ホラー系短編集 『怪奇蒐集録』 をエブリスタ、Noveleeにて不定期連載中📖🖊