140文字小説+α その108 「煩悩」

 人間には、108の煩悩があるらしい。  そんな煩悩を減らして、優しい人物となるため座禅に来てみた。  これは、いい。静かで感覚が研ぎ澄まされていくようだ。  特に――足が。  足がつっている。助けてほしいとも言えない地獄の時間だった。 「はい。足を崩して楽な体制にしてください」  た、助かった。即座に足を延ばして、痛みを和らげようとする。  それでもなお、足の痛みは取れなかった。  くそ、トイレも行きたいのに足が痛い。でも、今行かないと大変なことになりそうだ。煩悩消すどころの話じゃない。一生の恥になる。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。