EP8 決死の決断

EP8 決死の決断
 空気が冷たい。椿さんの表情は笑っている。でもピクリとも動かない。俺の返事待ちなのは明らかだが、俺もまだ適当な返事が思いつかない。急に一年以内に死ぬ宣言されて俺はなんと答えればいいのだろうか。マニュアルがあったなら今すぐに読みたい。  そんなかんな考えていると椿さんの目線が上に向いたり下唇を甘噛みしたりしだした。そろそろマズいのかもしれない。でも俺ならと思って言ってくれたことなのかもしれない。だったら下手な返事もできない。同情すればいいのか。それとも、気にしませんよって意思を出せばいいのか。でも、後者の方はどう出せばいいんだろう。『そうなんですね』は素っ気なさすぎる気がする。きっとまだ一分しか経っていない。なのに体感十分くらいだ。この沈黙と椿さんの仕草に俺は恐ろしさを感じて喉が締まる。  ビューン 「おっと」  急な突風に桜が揺れ、俺と椿さんの髪も#靡__なび__#いた。瞬間、黒っぽい何かが俺の視界を塞いだ。 「うわ!なんか目入った!土か?いった!」 「フフ、アハハハ!」  椿さんは土が目に入りパチパチまばたきをしている俺をみてケラケラ笑っている。 「ちょっと何わらってるんですか。土目に入ったら痛いんですよ。外出てなかったからわかんないかもしんないけど、まつ毛が入るなんかより、取れないし痛いんですからね!」  あ、俺もしかして今最低なこと言ったかも。
大和滝
大和滝
函館の高校生です。 趣味で書いていますが、是非どんどんコメントとか書いていってください。フォローされたら出来るだけ返そうと思います。 アルファポリスでも同じ名前で活動しています。そっちでは現在三つ作品を出しています。是非読んでみてください