祓い屋のお仕事 5

緑の色をした水は生暖かく、体にまとわりついて来て気持ち悪いものであった。射雨が池の中心に近づくと岸から八染が声をかける。 「どうですー?何かありますかー?」 大きな声で言う八染に射雨は内心イラッとしながらも見えない水の中を探った。深いはずの水の中にざらりとした石の質感の物があった。長方形で、まるで棺のような大きさであった。 「石で出来た棺?のようなものがある!」 射雨がそう声をあげると同時に水の中から無数の手が現れ、射雨の手や足、首までもを掴んだ。ぐいと引っ張る無数の手は下へ下へと射雨を持っていこうとする。 「…っ!?」 (溺れてしまう…!!)と射雨は思い、必死でもがくが多勢に無勢。ごぼっと射雨の口から空気の泡が出る。射雨の頭が完全に水に浸かってしまった時、何かが射雨の胴を持ち上げた。底から上がってきていた手達をぶちぶちと引きちぎって射雨を水から出したのは、獣の姿をした紫苑であった。 「…っ守ってくれるんじゃなかったのか?!」 げほげほと咳をしながら言う射雨を八染のいる岸へと降ろした紫苑は獣の姿のまま、舌打ちをする。 「死んでおらんのからせぇふだ、せーふ。」
赤木
赤木
学生 初めまして。拙い文章ですが気に入って下さるととても嬉しいです。BL作品、ほの暗い作品多いと思います。思いつきで投稿することも多いです。