終電

終電。 毎日終電の電車に乗り込む人が大勢いる中で、ホームに到着するまでの間、全力で走る自分の姿が目に映る。そんな終電に乗り込むと、いつも顔を合わせる彼女の存在があった。彼女のサラサラのショートヘアを、後ろで軽くゴムで結いている。今も解けてしまいそうなほど緩く縛られているが、解ける気配は無い。 「………」 そんな彼女は毎日俯いていて、携帯をじっと見つめている。傍から見ると、あまり病んでいるようには見えなかった。しかし私はいずれ彼女の裏を知ることになる。 「あの、大丈夫……ですか?」 これは、終電で出会った、二人のお話。
蒼白ねっこ
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気まぐれで投稿してます。 気分屋です。どうぞお見知りおきを。