心の地下室
私はここに地下があるって信じてる。ここって言うのは今私が立っている体育館の裏っ側の倉庫の辺りよ。周りは手入れがして無い草がいい感じにかもふらーじゅになっていて、如何にも秘密の場所なのよね。こういう所って私大好き。誰もいない、私だけの空間みたい。小学生ってやっぱりコドモっぽい。クラスの子たちは私が意見を言うたびコソコソ、ちらちら、クスクス。こんな時に限って団結力が高まるのはどういう事?って思うの。だから私こんな場所が好き。
体育館の裏の話だけど、この前声が聞こえたわけ。地底の奥から響いてくるような感じね。その時は、まあ、年相応に怖くなって家に帰っちゃったけれどね。私は本をたくさん読んでいるので、こんな仮説を立てたわ。
①あそこには地下帝国と地上を結ぶ階段がある。
②地下牢獄があり、その窓から誰かが助けを求めている。
③地下に発電システムが埋め込まれている。異常事態時になる音が聞こえていた。
現実的な仮説も立てることで、きゃっかんせいを持って事実を受け入れられると思わない?私は年の割にオトナだからねっ。それを確かめるべく、金曜日の放課後にここに来た。
僕はクラスのみんなが、嫌いだ。毎日小学校からぼろぼろで帰る。え?見た目は全然ぼろぼろじゃないって?そうさ、心が痛くて千切れかけてるんだ。見えないの。先生に言えってよくあるよね。でもね、先生も切り裂く側なんだよ。お母さんには、そんな僕じゃ情けなさ過ぎて言いたくないんだ。これは唯一のプライドかもしれない。そんな中救いが二つあった。飼ってる猫のミケ丸助。どんな時でもあったかくて、心を繋ぎ止めてくれるんだ。一番大事に思っている。もう一つはマリカちゃんだ。クラスの中で自分を傷つけない女の子。少し浮いてしまっている時も自信を持って行動している。僕は彼女を尊敬している。僕もこれくらいの勇気が欲しいなと。
最近ミケ丸助が帰ってこなくなった。食いしん坊だから必ず帰ってくるのに。僕は放課後、ミケ丸助を探すことにした。人がいないような所を毎日巡っていた。
「あれ?!」
2
閲覧数: 60
文字数: 2576
カテゴリー: お題
投稿日時: 2023/3/1 7:14
倚吏
倚吏(より)です よろしくお願いします
受験期を無事終えてゆっくり執筆を再開中。