忘れ物の多い君と、帰らない私

放課後の教室はいつもより静かで、ほのかにお昼ごはんのにおいが充満している部屋で、私は静かに本を読んでいる。 正確に言うなら、本を読んでいる「ふり」をしている。 ページはもう三十分くらい同じところで止まっているし、物語の主人公が今どこにいるのかすら分からない。森にいるのか、海にいるのか、それとももう死んでいるのか。まあ、正直どうでもいい。 だって、私は物語を読みにここにいるわけじゃないから。 窓の外では、グラウンドから「ナイスー!」とか「ドンマイ!」とか、部活特有の大きな声が飛んでくる。青春って感じの声だ。
しょま
初めまして