過去の記憶②
父親の蒲田総一朗(かまたそういちろう)は働きもせずに昼間から酒を飲んでいるような男だった、臨時収入が入ればギャンブルに興じて、勝てば機嫌が良くなり寿司を食わせてくれた。母親はどんな女性だったか覚えていない、蒲田の物心が付く前に家を出たようだ。
そんなクズにも関わらずどういう訳か家には定期的に違う女が入れ替わるように訪れた、一DKのボロアパートの襖越しに女の喘ぎ声が聞こえることに慣れたのは中学生になって隣で行われている行為を理解してからだろう。
「あなたパパに似ていい男になったわねえ」
総一朗が留守の時に訪れた香水臭い女にそう言われて童貞を捨てたのは蒲田が十四歳の時だ。
酒は飲むが酒乱という訳ではないので蒲田にも暴力を振るったりすることは無かった、むしろ優しい父親だったと記憶している、しかし。
こんな人間にはならない――。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2023/2/27 23:15
最終編集日時: 2023/2/27 23:16
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
桐谷碧
小説家を目指しています(歴3ヶ月)
年間150冊以上は小説を読みます😄
夢は直木賞、ドラマ化、映画化。
自殺、復讐、競艇、がテーマの小説執筆中🖋
好きな作家
東野圭吾(母の影響)
現在
引きこもり