漫画のような恋愛 ※ハッピーエンドではない

今日の晩御飯はスーパーで買ってきた三割引きのお弁当。本当は自炊した方が男の子にはモテるのだろうけど、一人暮らしの今そんなこと毎日はできない。それに、最近そのスーパーでレジ打ちをしているバイトの男性がとにかくカッコいいのだ。 今日もその男性がレジ打ちしているところで会計をした。そして支払いは現金でお釣りが出るようにする。自分でもこれは気持ち悪く思う。 翌日も私は彼がレジ打ちをしているところへ並ぶ。列は進みいよいよ私の番だ。自分でも顔が赤くなっているのが分かるほどに熱く感じる。彼のネームタグには「タナカ」の文字。タナカ君は私のことを意識しているだろうか。彼女はいるだろうか。どうすれば彼のことを知られるのだろうか…… 少し日が空き、私は久しぶりにそのスーパーへとやって来た。窓にはバイト募集と書かれた紙が外から見えるように貼られている。弁当を持った私はレジへと向かった。しかしいつものレジには知らないおばさん。彼の姿はない。もしや、彼はバイトを辞めてしまったのだろうか。この前は無かったバイト募集の貼り紙…… 私は三割引の冷めた弁当を袋へ入れて店を出る。再び彼と会えるだろうか。そう考えていると前から彼が歩いてくる。私の方を見た彼はすぐ視線を逸らす。私は視線を逸らさない。横には彼女らしき女性が彼の腕を掴みながら歩いている。彼女はあまり可愛くない。私の方が可愛い。幸せそうな二人から私は目を逸らす。
エーテル (短編・SS)
エーテル (短編・SS)
SF・別世界などちょっと独特な感じのショートショートをメインで書きます。 (全然別ジャンルも書くかも) いいね・コメント・フォロー気軽にしてください