目が、合わない。

目が、合わない。
「りお〜、リップ貸してぇ」  トイレで前髪を直していたら、香純が体当たりをしてきた。 「昨日はハンカチ、貸した気がするんだが。」 「え〜...何の話かな?今唇カッサカサなんよ!ポカリ奢るから貸してください!!」  胸の前で手のひらを合わせ頭を下げるその様は、何度か見たことがあった。 「よろしい。」 「流石りお様」  と、離したリップとは逆に温かな体に柔らかい香水の匂いが近づいてきた。 「ちょ、距離近いってば。」
魅設定
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