キツネ色のアネとサイショのユキ

私がこの世界に産み落とされたとき、そこにはすでに「アネ」がいた。 小さな、キツネ色の豆柴。名前はラッキー。 赤ん坊のころの私は、アネにちょっかいを出しては、お返事のように黒いお鼻でグイッと押されて、よく泣いていた。それでもアネは決して怒らなかった。ただ静かに、私の小さな手のひらを見守るように、いつも隣で息をしていた。 私が今も…理屈抜きに犬を愛してしまうのは、間違いなくあの優しいアネの背中を見て育ったからだ。 小学五年生の、ひどく寒い冬だった。 あの子の灯火が消えかけているというのに、私はあの子が目を閉じる瞬間すら、看取ることができなかった…
Caduca
Caduca
初めまして. Caduca(カドゥカ)と申します。 小説をきちんと書くのはこれが初めての初心者です。 日常の忘れたくない経験や思いを記憶へと...短い物語(短編)にして灯していきます。 拙い文章ですが、通りすがりにふらりと呼んで頂けたら幸いです.