【四季書房】虚鬼 -うろおに-

【四季書房】虚鬼 -うろおに-
 神石村とは、帆羽諸島は尾賀島に在った、寂しい漁村である。  岩礁に打ち寄せる波は荒々しかったが、夏は脂の乗ったタカベが獲れ、冬も産卵前のアイナメが獲れる。豊かとは云えないにしても、そう貧しくもない島である。  しかし、村の者たちはと云うと、元は九重藩の善政にすら耐えかね、この島まで逃げ出して来た軟弱者たちの集まりであったので、その生活は卑しかった。  村とは別に、この島の北東の海蝕洞には、鬼が棲んでいた。
四季人
四季人
活動終了 文藝サークル"NöveSir!!"主宰代行。