鍵
───まずい。冷や汗をじんわりとかきながら教室の前に立ち尽くしていた。なぜ私がこんなにも絶望しているのかというと、教室の鍵が開かないから。 それだけ?って思う人もいる、というかそう思う人がほとんどだと思う。だが私にとってはかなりの大問題なのだ。 まず私は朝早く学校に行くタイプで、いつも一番最初に学校に着いて教室の鍵を開けているのもいつも私。つまり、あと約30分ほど待たないと誰も学校に来ないということだ。 そして朝一番に学校に来て私はしなきゃいけないことがある。教室の掃除だ。 うちのクラスの人たちはどうやら掃除に熱心になる、という思考が無いらしく、毎日の掃除が疎かになっていた。潔癖症である私にとってそれは結構嫌だった。 そういうわけで私は誰も来ない時間帯に来て1人で掃除をするのが日課になっているわけだが、今日はその日課が出来そうにない。どうしたものか、と教室の前で鍵穴に差したままの鍵をぼーっと見つめていた。 1分に1回ほど鍵を開けられるか試したが、何度やってもやはり鍵は開かず、かく必要の無い汗を無駄にかいてしまった。 これはかなりまずい、誰かが来て鍵が開いたとしても、人がいる場所で掃除なんて絶対に嫌だ。クラスの空気を読まないと、クラスメイトたちから省かれてしまう。 鍵と格闘して約15分経った頃、私たちの教室があるフロアに向かう足音が聞こえてきた。 今日の掃除は諦めて、今来てるはずの誰かに開けてもらおう、と思っていたところに、1人の生徒がやってきた。
Lily
Lily
名前▶︎Lily 年齢▶︎15⤴︎ 書いてるもの▶︎恋愛系一次創作中心 好きなもの▶︎アニメ、漫画、ゲーム など X▶︎Lily/初心者物書き ※アイコンはフリーのものを使わせて貰っています ※不定期で投稿しますができるだけ続けられるように頑張ります!