犬の気持ち その20

 夏の訪れを感じるかのように、太陽がギラギラと輝いていた。 「……誰の許可貰って暑くなってんねん」  青の許可は、確実に要らないだろ。この時期にへばってたら、夏本番が思いやられるぞ。 「はー、またこの季節が来たわ。また大学行くだけで、汗ダルマになるんか」  汗ダルマってなんだ。 「でも、楽しみなこともあるな。冷やし中華とか、かき氷が美味しい季節や」  こういう時、青がうらやましくなる。俺は、年がら年中ドックフードだからな。たまに焼いた肉をとかももらえるけど、本当にたまにだしな。いろいろと食に楽しみがあるのは、純粋にいいなと思う。 「……そういや、今年は庭でバーベキューやるんやろうか」  ああ、そう言えば毎年なんかやってるな。青の父親が張り切るやつ。 「火起こし手伝わないけないのはだるいんやけど、その分の見返りがあるからな。なんで外で食う肉ってあんなに美味いんやろ。ぽち、知ってるか? 肉好きやろ」
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。