祭の狭間

 祭特有の喧騒の合間を縫って歩く。目的地までの道は人でごった返していた。 「お、兄ちゃん焼きそば食ってかないかい?」 「あー……すんません、後でまた来ます」  屋台のおっちゃんの営業を躱して人混みを抜ける。そのまま神社に足を踏み入れようとしたところで、屋台の横にいるやけに古風な狐の面に気付いた。  ばちり、と目が合う。気がした。  小さな手が面を押し上げ、幼い顔が現れる。そして大きく瞳が開かれた。 「お兄ちゃん、私が見えるの?」
綴木 継人
綴木 継人
気ままに書いたりしてます。