第10回N 1決勝 『ぐるり』

 指先が何かに触れた。硬い縁、布の感触、そして少しの反発。  それが「枕」だとわかるまで一拍あった。  頭の下にあったものが私の横にある。  目を開けると、天井の木目がゆっくりと流れていた。壁も、窓も、机に置いたコーヒーカップも、同じ方向に、同じ速さで。  私のベッドだけが、回っていた。  ベッドを押して、降りた。ベッドはさっきまでと逆方向に回り始めた。    顔を洗おうと蛇口をひねった。水が勢いよく流れ出した。まっすぐには落ちなかった。蛇口が回り出して、水が四方八方へ飛び散った。  私はずぶ濡れになりながら、服を着替えた。濡れたシャツとズボンはまとめて洗濯機に入れた。洗濯機が回り始めた。  
かきあげ
かきあげ
バナナです