サングラス

私は生まれつき片目だけに重い障がいがあり、幼い頃から眼帯やらサングラスやらを着けて隠してきた。十九歳になった今では室内でも暗い夜道でも必ずサングラスをかけている。 この前、就職試験へ行ってきた。事前に申し出たことで筆記試験ではサングラスを着用したまま受けることができた。しかし問題は面接試験だった。面接官に上手く伝わっていなかったのか、サングラスをしたまま部屋に入った私を見るなりこう言った。 「不採用です。サングラスをしたまま面接を受けられるなんて思っているのですか?」 合否結果は面接から数日経ってインターネット上で発表されるはずだったのだが、面接官はその場で不採用だと言ったのだ。「運が悪かった」では済ませられない。何も知らされていない面接官の気持ちも分からないことはないが、向こう側のミスのせいで私が第一志望の会社に就職できなくなるのは納得がいない。 「あ、あの、事前に申し出て、サングラスを着用しての試験の許可は頂いたはずですが・・・」 泣きたくなった。しかし今まで様々な困難を乗り越えてきた。こんなところで折れるわけにはいかない。 「サングラスをしての試験の許可?何も聞いていないですが?まぁ分かりました。もう一度チャンスをあげます。今すぐサングラスを外すなら面接を受けてあげますよ。」 「ですから、サングラスを着用しての面接を・・・」 「はぁ?私たちのことを舐めてるんですか?就職試験の面接ですよ?誰がサングラスを着用したまま面接するのですか。失礼ですよ。」 涙をこらえた目が赤くなっているのが自分でも分かる。こんな会社に就職なんて絶対に嫌だ。今すぐ部屋を出てもよかったが、私は何か使命感のようなものを感じた。
エーテル (短編・SS)
エーテル (短編・SS)
SF・異世界・非日常などちょっと独特な感じのショートショートをメインで書きます。 (全然別ジャンルも書くかも) いいね・コメント・フォロー気軽にしてください〜