ある繁栄した惑星国家の書店での採取物
終末世界、だなんて陳腐で見飽きたテーマ。特に「世界最後の1日」なんてくればもう擦られ過ぎる余り摩耗しきっている事だろう。もしも私が小説家であるならば絶対に使いたく無い、ありふれた単語。だが、残念な事にこの世界の主はそのテーマを選んだらしい。
下位世界でも勿論、幾多もその考えは生まれ、そして日常の話題の一つとして消化され続けていた。だが実際、その最適解を過ごせている人はどれほどいるか分からない。最後くらい犯罪を犯したいと言っていた友人は家から出てこないし、皆と讃美歌でも歌うと言った彼女は既に数日前に首吊り死体で発見されている。何が最善だったのか、何が最適なのか。後悔と懺悔に思考を割くのは来世でも十分遅く無いだろう。
そんな中、自分でも分かるほどに異様なのが私である。そもそも世界が滅ぶ原因というのがこれまた既視感のある隕石衝突。そして私はこれを阻止しようと思っている。馬鹿げた、小説の題名に抗う行為。でも、私は不可能だとしても努力する。今記しているこれも、英雄になってから売ろうとでも思っている。
まあ、今更ではあるけれどこれには遺書的側面もある。失敗した場合は塵と化すので保存する意味は無いが、そもそも今やっている事も意味が無いと言われればそれまでだ。今までの人生で一体どれだけの意味を残せただろうか。…いや、後悔と懺悔は後回しにしよう。地獄が天国かでそんな事はいくらでも出来るはずだ。
仕事の合間合間に記していたが、そろそろこの辺りで締め括ろうと思う。忙しいというのもあるが、あまり時間が無いというのが本音だ。持ってあと3時間。既に目に見える距離に終末は近づいている。もしも私が暇ならカメラを持ち出して撮影し、そのまま詩でも綴ろうと思う。それくらいには綺麗で、それで恐怖を帯びた光景だ。街の外の阿鼻叫喚も逆に静まり返ってきた気がする。この静寂だけでも録音しておきたい。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2023/9/19 12:36
最終編集日時: 2023/9/19 12:39
しらたき
しらたきです。普段は鍋の具としてぐつぐつ煮られています。ほどほどによろしくお願いします。