他人事探し

他人事探し
別に、墓参りに来た訳では無い。けれど、ここには多くの花が並べられていて、時折すすり泣く声さえ鼓膜を揺する。その声の先には、整列された花々。しかし、それら一つ一つの意志の先は違っている。故に、整えられることはきっと、この先無いのだろう。その雰囲気に感化されたのか、 「もう少し…強引にでも、引き止めるべきだったのだろうか」ぽつり、そう呟いた。 少々の自責の念と共に、沸き上がる感情がそこに立っていた。 「お前の問題じゃないだろう。お前は止めたんだ。でも、行ってしまった。好奇心は猫をも殺す。そういうことだ」 不意に、口元が緩んでしまう。何故だろうか。私の前に立つこの感情は、一体誰なんだろうか。 ニュースタブを手早くスクロールする。様々な記事が上へ上へと流れ、代わる代わる新たな記事が現れる。そのうち画面処理が間に合わなくなり、スクロールが塞き止められる。丁度、そこにあった記事ページを開き、軽く目を通す。 「二十人死んだってさ」 それが当たり前であるかのように、軽い口調でそれを話す。実際、本人にとっては何気も無いようなことだった。偶然開いた事故の記事。ただ、少し話題を求めていた過ぎない。 「えっ、マジかそれ」
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。